展覧会・『視力0,01』ができるまで


by hello-daito

ギャラリーTOM

アクロスの照屋です。

東京でまず訪れたのが、ギャラリーTOMです。
このギャラリーは、「手で見るギャラリー」として1984年に東京で開設されたギャラリーで
視覚障がい者が手で触って作品を鑑賞できるよう、立体や彫刻を中心に
展覧会をされています。

(会場全体の写真)
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ちょうど「20人の作家による“手で見る造形”展」という企画展を開催中だったので
これは、見て触っておかなくては!と勇んで訪れました。
いったい、会場までの最寄駅などからの案内や、会場内での案内は
どのようにされているのかっ!

実際は、意外なものでした。
駅から少々距離のある会場なのですが、点字ブロックが続いているわけではなく
さぞかし、あらゆる音声ガイドや点字案内が添えられているであろうと
予測していた会場内には、点字らしきものは、1つのプレートだけで、
しかもこの展覧会のためのものではなく、このギャラリーの開設コンセプトを
知らせるためのものでした。
なので、展覧会風景としては、一般のギャラリーと変わりなく見えました。

しかし、よく見るとHPの地図のページには、さりげなく
「お分かりにくいかもしれませんので、遠慮なくお問い合わせください。」
と一言添えてあったり、
会場ではスタッフの方が、作品によって説明が要りそうなら
お声がけをするなどされているそうで、より自然な形で鑑賞のお手伝いを
されているように思いました。

また、ギャラリーの方がとても親切で、私の初歩的な質問に丁寧に答えてくださいました。
そして、次の要素をもつ作品については解説がないと把握が難しいようです
とも教えてくださいました。





①具象的なもの

意外なのですが、目を閉じて触ると具象的なものの方が何を表しているかわかりづらく
抽象的な作品の方が、目を閉じた時と開けた時で印象は近いものでした。

例えば、具象的な作品については「かわいらしい動物」を表現した作品があったとして
見ないで触ると、形によって「動物」まではわかっても、
「かわいらしい」は、とても把握しづらいのです。
実際、目を閉じて触っている間は、ごつごつしていて攻撃的な印象を受ける作品が
目を開けると、かわいらしい感じで少々驚きました。

抽象的な作品については、「リズミカルな曲線だな」とか「質感がおもしろいな」
という印象でまず楽しめるように思いました。


②顔の表情があるもの

この点についてはすでに、協力者の雑賀(サイガ)さんからも指摘していただいていました。
見えていると、表情を読み解くことは、日常生活で非常に重要なことなので
無意識に敏感になっているようです。
例えば、同じ行動でも、笑ってしていることと、怒ってしていることとでは
意味合いが全く変わってしまいますし。
しかし、顔のパーツは、どの顔もだいたい同じ位置にあるので
見えない人・見えにくい人にとっては、触っただけでは、把握が難しいそうです。
確かに、目を閉じて触ってみると、私の場合は、顔が「顔」とわかるだけで精一杯でした。


③ストーリー性があるもの

鑑賞するにあたって、ストーリーを思い描く必要があるのならば、
やはりその説明があるほうが、喜ばれることが多いそうです。

例えば、無機質な建物の中にポツンと人が一人だけいるような状況によって
「孤独」について伝えたい作品ならば、それがわかってもらえるための工夫がないと
その作品を十分に味わうのは難しいようです。

このことは、見える人にとっても同じで、人によって、
その状況からすぐに理解できる人もいればわからない人もいますし、
中には、わからないことで不機嫌になってしまう人もいます。

これは、その人のセンスはもちろん、知識や経験から得るところも大きいように思います。
鑑賞になれている人とそうでない人でも、読み解く力は違ってきますので
特に「視力0.01」のように美術館やギャラリーでない会場での展覧会には、
現代美術を初めて鑑賞する、という方も多くいらっしゃると思われますので、
ある程度の解説を用意しておくことが親切なのではないかと思いました。


以上が「ギャラリーTOM」で伺ったポイントです。
解説については各作家さんに、ほぼお任せすることになっていますので、
今回、私が見聞きしてきたことが一つの参考になればと思い、記載させていただきました。

いずれにせよ、支援学校でもアドバイスいただいたように、
解説内容を知りたいか知りたくないかや、知るにしても、音声で知りたいのか、
点訳で知りたいのか、人との対話によって知りたいのか、などについて、
鑑賞する人が、できるだけその人の判断で選択できるような状況を
つくることが大切なようです。
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by hello-daito | 2010-06-01 18:40 | 解説