展覧会・『視力0,01』ができるまで


by hello-daito

光島さんのアトリエから1

まずは触るアートに関するあれこれです。


光島さんが触って面白いと思う作品をお聞きしてみました。

知覚障害者の方が触って作品を鑑賞するときにの前提として
「凸面を触る」
というものがあるそうです。

点字や盲学校での教材も全てこの凸面を触ってその形を確認するという前提があり、
私達も基本的にー紙や布といった平面の上に何かを足す形―
で凸面を作りそれを触っていただくスタイルでの制作をしておりました。


光島さんは
「凸面で情報を得ていると逆に無の空間―なにもない空間―
という感覚がどうもつかみづらい」ということをおっしゃっていて、
この発言は私達の好奇心をかきたてました。


今回の参加作家はみな、平面作品を作っており
この光島さんの発言は(ちょっと古典的なお話になってしまいますが)、
所謂絵画における図と地の関係という
絵描きが避けては通れないお話しに通じるように感じました。


さらに、そうした欠如の感覚を楽しむのが難しい、
触感の世界で作品を作っておられる光島さんに
触って面白い作品をおたずねしてみると、
光島さんがあげられたのがヘンリー・ムーアの作品
というもの非常に興味深かったです。


ムーアの作品というのはご存知のとおり、欠如(穴)が多い彫刻であります。
下写真(ムーア画像)

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いわゆる欠如の無い彫刻(例:ロダン)
下写真(ロダン画像)


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(ロダンのひじと太ももの間はどうなってるんでしょうなー?)


3年ほど前の杉浦隆夫さんが兵庫県美で発表された
「美術の中のかたち-手で見る造形」展は、そういった意味で大変興味深いものだったそうです。

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(写真、杉浦さんの作品)

この作品は会場に発泡スチロールの粒を敷き詰め、
その中に彫刻が埋まっていてそれを手探りであて、触って楽しむという作品。
当時とても大きな話題となった作品です。
この作品を体験なさって、
上記の欠如の感覚、空間の感覚が少しわかった気がするとおっしゃっておりました。

また点字を足で踏むという行為を経験させてくれた
石原友明さんの作品もとても衝撃的だったそうです。


普段慣れ親しんでいるものが視点を変えて
鮮やかに提示されたときに感動するのは
見えるひとも見えない人も同じなんだな、と思ったり、
と同時に今更ながら、
その感動の仕方に芸術を楽しむ前提の違いを感じ取り、
やはり異なる世界に住んでおられるのだなーと思ったりしました。



次回は触るアートのレプリカ問題に迫ります!



(執筆中村)
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by hello-daito | 2010-05-10 19:22 | 訪問