展覧会・『視力0,01』ができるまで


by hello-daito

投稿2(山川さん1)

今回ご紹介するのは山川秀樹さんからのメールです。
まずは山川さんがどんな方なのかご紹介させて頂きます。


山川秀樹さん:1968年京都府生まれ。生後間もなく未熟児網膜症に
より失明。花園大学社会福祉学科卒業後、障害者解放運動・美
術鑑賞やワークショップ・好きな音楽や楽器etc.など、様々な
人・もの・ことに出会う。現在(有)ウェルフェアで点字デー
タの校正などの仕事をしている。

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(山川さんからのメールです)
ミュージアムアクセスビューのホームページの初めて参加される方へのメッセージ
 http://www.nextftp.com/museum-access-view/how_3.htmlというページにぼくも拙い1文を寄せています。ぜひご一読くだされば幸いで
す。

 





確か、2・3年前にビューの阿部さんに頼まれて、まだ鑑賞ツアーやワークショ
ップに参加なさったことがない方向けに書いた1文です。あれから少し時間が経
過して、その後にした貴重な経験もいくつかあります。とは言え、ぼくにとって
はまだまだ未知の世界とも言うべき、美術や絵についてのストレートな思いや、
美術に対するぼくなりの立ち位置のようなものは、少しは言語化されているよう
に思われます。
ブログをご覧のみなさんにも、先日のメールと合わせてお読みいただければ、
ぼくの思いや意図がより伝わり易いのではと考えてご紹介させていただいた次第
です。


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と、プロフィールを紹介させて欲しいというこちらの要望にもとても丁寧に応えてくださいました。
また、このメールは山川さんとアクセスビューで仲良くなったHaruhiさんが
仲介人となってこのやり取りが実現しております。
Haruhiさんありがとうございます!
私も山川さんとは何度もお会いしているものの、一緒のグループで行動したことがなく・・
ビューでの活動の中で何度か山川さんの発言はお聞きしていますが、
下記のメールの切り口は山川さんのお人柄をとてもよく伝えているように思います。


では以下、山川さんのメール第一弾です。



こんばんは。山川です。
メールをいただいてからすぐに、メールも、中村さん・光島さん・ 雑賀さんが
ご投稿なさった文書も読ませていただいていたのですが
お返事遅く なってすみません。

ちょっとばたばたしたりしてたもので。

ブログなどでみなさんに読んでいただける形では、また機会を改め てゆっくり
と考えつつ、思うところをつづることができたらとは考えています。
 
とは言え、とりあえず作家のみなさんに一言何か伝えるとすれば、

「見えない 人への分かり易さ」に配慮する観点に立つが故に、アーティストとし
てのこれまであるいは普段の作風を変更したり、アーティストとしてのポテン
シャルを下げたり出し惜しみしたりする必要は全くありませんよ、どうぞ思うがま
まに表現したいがままに、本来のあなたらしい作品を堂々と自信を持って制作し
てください。」

ということです。


 もちろん、展覧会の企画者・作品の製作依頼者(アクロスという団体でしたっ け?)
の企画意図やコンセプト、依頼の目的や趣旨と本来のみなさん の芸術性や
作風との間の折り合いをつける必要が生じているのかもしれませんし、
製作時間や展示会場や製作費の制約もあるのかもしれません。


 
けれども本質的には、ただでさえ制約の多いだろう製作環境の下 で
「様々な人への分かり易さ」という、ともすればアーティストのポテンシャル
や作風に強い縛りをかけかねない条件を製作時につけることは、
作品を分かり易 いけれども
どこにでもあるような面白くもなんともないものにしてしまいかねな い危険性を
はらんでいるように思われます。

 
学習や生活や仕事のための情報収集にとって分かり易さは必須条件ですし
障害などあらゆる条件を抱えた人への手立てや配慮も十分に考慮される必要がある
でしょう。

また、展示会場や鑑賞の方法やスタイルについても、ときには工夫や配慮が必要でしょう。

しかしながら、作品そのものにそうした分かり易さのための配慮や
工夫が必要かといえば、必ずしもそうとばかりは言えないように思わ
れてなりません。

 
音楽であれ美術であれ映画や舞台であれ、作家やプレイヤーはその
作品に自らの思いや表現したり訴えたりしたいメッセージやテーマを込めること
でしょう。
ぼくら鑑賞する側も、その作品に面白さや驚きやスリルや意外性やインパクト
を求めたり、何かを感じさせられたり考えさせられたりすることを望んだりする
のです。

個人的には、分かるけれども面白くないあまり何も感じない作品なんかよりは
わけが分からないけれども何かを感じたり考えたりすることができたり、
会話が弾んだりする作品のほうがよほど素敵だと思います。
また、鑑賞する側に作品を理解するためのスキルを求める
(たとえば、見えない人が触って形などを理解するスキルなど
個人差が大きい力量など)のもナンセンスなように思えます。


 以上、ざっと思いつくままに書いたので、ことば足らず名ところや、未整理な
点も多々あるかと思います。  
また、詳しくはおでんでも食べながら一杯やりつつ、直接お話できたらなんて
思ったりしています。

それでは、今夜はこの辺りで失礼します。


以上です。
(行変え等は中村が致しました。読みづらいところありましたら
ご指摘くださいませ)
明日は2通目をアップしますー。
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by hello-daito | 2010-03-23 02:03 | 主旨 説明