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展覧会・『視力0,01』ができるまで


by hello-daito

光島さんとの往復書簡によせて~雑賀さんのご意見~

※この内容に関してや、今回の企画に関してご意見あられる方は
中村までメールにてコメントください。
下記のような形でご紹介させていただきます。
(基本、書かれた方の文章を全文掲載させて頂きます)
折角なのでご意見おありの方は是非!
ペンネームでもいいですよ。  

中村協子メールアドレス:hi-kyoko@mbn.nifty.com


光島さんのコメント、続々反応があります。

今度は雑賀さんがご意見を寄せてくださいました。


メンバーでも以前から話題となっていた
「途中まで見えていた人」
と、
「生まれつき見えない人」
との違いについて雑賀さんがとてもわかりやすく説明してくださっています。

「説明」の大切さ、なぜ「説明」が必要であるか、
そしてアートにするにはどうすればよいか等々
雑賀さんのご意見をわかりやすく述べてくださいました。

光島さん同様、雑賀さんがブログに載せるために校正をしてくださいました。
お2人ともに、目の見えない方がこうした長文を書き、
校正をなさるのは大変な労力だと思います。

本当にありがとうございます!



以下、雑賀さんのご意見です。


まず視覚障がい者の中には、
生まれながらもしくは幼児期等に失明された先天性の方と、
中途失明の方がいます。





この違いはいろんな角度でいろいろとあります。
例えば色の理解は先天性の方には困難です。
また形の理解に関しましても、同様に触覚で確認する方法はありますが、
限界があるのも事実です。
例えば「山」のシンプルな概要は模型等でそれなりに理解できます。

しかし山その物全体を触って確認するのは困難な話です。
また山にもいろんな山があります。
その違いまで見えている人のように外見等を理解するのは困難になります。


この事を頭の片隅にでも入れていただきたいのです。



例えばシンプルに山の浮き出る絵を描くとしましょう。
先天性の方の中には山の形を知らない方もいます。
その場合にはまず山の形の理解から入っていただく必要があります。
そうしないと山の浮き出る絵や模型を手渡しても、先天性で山の形を知らない方には
「これ何と思う?」と質問しても絶対にわかりません。

一方中途失明の方は山の形をある程度は理解されているはずです。
それで先天性の方と同様に触ってもらうと個人差はありますが正解が出る
確率は先天性の方に比べて高いはずです。

このようにシンプルな作品は
光島さんが表現されている『教材』になるはずです。

確かにシンプルな教材では、
各作家さんの個性が半減すると思います。

しかしその個性をより多くの方に理解していただくには、
前提としてまさにこの『教材』が必要不可欠になるとも思います。
その教材を用いて書く作家さんの個性的な作品を
理解していただくための一例を引き続き以下に記載させていただきます。



今度は山の中でも、
例えば世界のエヴェレストと日本一の富士山と地元の生駒山の
3種類の山を描くとしましょう。

今度も同様に浮き出る絵や模型を作成していただくとしましょう。

ただ今回は先程とは逆に触って確認できる作品ならば
制限を設けずに各作家さんの個性を思いっきり出していただきたいのです。

例えば噴火している山でもいいと思います。

そうする事で各作品の特徴等、
はっきりと違いや個性を出す事で
視覚障がい者の方にも各作家さんの作品の特徴も理解できると思います。
触っても山の違いを理解していただく事や
各山の特徴を理解していただく事は、プロの美術家の個性も出せ、
腕の見せ所にもつながると思います。

結果この作品は教材ではなく、まさに作品になると思いま
す。

このようにまず基本形をご準備していただき、
その後にオリジナリティを出すのも一案のような気もしました。
そうする事で基本形との違いを触って確認していただく事で、
各作家さんのオリジナリティが少しでも
視覚障がい者の方にも通じるような気がします。

美術に関しては素人の私が生意気な事を書いて申し訳ありませんでした。
以上の点今後の何かのご参考にしていただければ幸いです。


                                  雑賀 利幸

(読みやすくするため、漢字や行の調整などは中村が行いました。
ご了承くださいませ。)


以上です。
雑賀さん、色々とありがとうございます。
今後も何かコメントありましたらよろしくお願い致します!
by hello-daito | 2010-03-08 17:44 | 主旨 説明